ヨーロッパアルプススキー山行 (高尾文雄) (3月16日〜24日まで)
チェルビニアからマッターホルンを望む
日本山岳会のメンバー他と一緒にヨーロッパアルプスへ山スキーに行ってきました。
今回はその報告をさせていただきます。
今回のヨーロッパアルプス山スキーはヘリ有効に使って、短期間で広範囲の山域の名 峰を頂上から滑りまくろうと言う趣旨で計画されました。
その為ほとんど歩いて登るところはありませんでしたが、豪快なダウンヒルとすばらしい景色が楽しめました。
メンバーは我ら6人(60歳台2名、40歳台4名)とガイド、コーディネーターが各一名。
l 3月16日 成田からローマ経由でジュネーブに入り、車でシャモニーに深夜に着いた。ガイドのアンドレ、コーディネーターの佐々木嬢と簡単な打ち合わせを行った。
l 3月17日 晴 プチ・コンバン(3672m) 朝早くシャモニーを出て、チャーターした車でスイス側のヘリポートへ向かう。シャモニーは回りを鋭い岩峰が取り囲んだすばらしい町だ。モンブラン、ドリューなどの数々の名峰を見上げながら車を進めた。 オリシェールの町外れの牧場がヘリポートに早や替わりした。爆音とともにヘリがどこからか現れた。二班に分かれて乗り込み、プチ・コンバンへ一飛び。回りの景色はすばらしい。グラン・コンバンを目の前に、モンブラン、グランド・ジョラス、マッターホルンなどの山々がきれいに見えた。 頂上からのスキーはボウベ氷河を下った。雪はここしばらく降っておらず、気温も高いので悪雪となっていた。何とかこなして車道のある1600mまで滑ったが、初日でもあり大変疲れた。 迎えの車でグラン・サンベルナール峠にある国境を越えてイタリアのヴァル・トアナンシェへ移動した。宿は歴史を感じさせる小さなモンタナホテルだった。
l 3月18日 晴 モンテローザ 今回のスキー山行のハイライト、モンテローザを滑った。ホテルから車ですぐのチェルビニアのヘリポートから二班に分かれてヘリで飛んだ。モンテローザは山群と言われるように多数のピークを持つ大きな山だ。強風を避けるため山腹ギリギリを飛び、4530mの最高峰近くのコルに降りた。 時間切れで登頂はあきらめ、すぐに滑降開始。標高が高いだけあり雪が良い。周りをマッターホルン、ダン・ブランシェ、オーバガーベルホルン、チナルロトホルン、バイスホルン、テッシュホルン、ドームが囲んでいる。 標高差2000m程滑り降りると今まであんなに広かった氷原が喉のように狭くなり、氷の回廊となってくねくね曲がっているところを滑り降りた。それを過ぎると氷河末端のゴルジュになってアイスフォールになっていた。ストックを投げ捨て、フィックス・ザイルにぶら下がってスキーを履いたまま下りた。 ツェルマットのスキー場に出て祝杯を挙げたあと、ロープウェーを使ってクライン・マッターホルン(3886m)に登り、テオデュール峠を経由してイタリア側のチェルビニアまで滑り降りた。
l 3月19日 雨のち雪 チェルビニアスキー場 視界がないまま終日チェルビニアのスキー場で新雪スキーを楽しんだ。
l 3月20日 晴 クールマイユールスキー場 車でシャモニーのイタリア側のクールマイユールへ移動し、スキー場で足慣らし。周りの山々では雪崩が至る所で発生していた。気温が高く風も強い。昨日降った雪が悪雪に変わっていた。それでもゲレンデ外の新雪を見つけては滑り込んだ。
l 3月21日 晴 ヴァル・グリザンシェ クールマイユールからアオスタ方面に下って南に入るとヴァル・グリザンシェの谷がある。オリンピックで有名になったスキーリゾートのヴァル・ディゼールと隣り合わせの谷であるが、こちらはスキー場もなく、ひっそりとした山村があるだけだ。しかし、この谷はヘリスキーのメッカとなっていて何十本もルートがある。 今回はここで一日に二本のへリスキーを行った。ジアソン(3204m)、シャトー・ブラン(3408m)の二つの山から麓まで標高差合計3200mを滑り降りた。山頂からはモンブランからマッターホルンまでの山々とイタリア側のグラン・パラディソの雄姿が望むことが出来た。スキーは新雪が残っていて快適ですばらしいものであった。
l 3月22日 曇 ヴァレー・ブランシェ 昨晩は天気予報に反して、雷が鳴り雨も降った。朝から曇り空でイタリア側の方からトリノ小屋へ上がるロープウェーは動かない。タクシーでモンブラントンネルを抜けてシャモニーへ向かう。シャモニーからエギゥイユ・デュ・ミディに向かうロープウェーは動いていて、視界も少し開けてきたので、大勢の人たちに混じって上に上がった。 ミディからアンザイレンして雪稜をくだり、広くなったところから滑降開始。 周りの山々を見ながらパノラマスキーで今回のスキー山行を締めくくった。モンタンベールまで滑って、登山電車でシャモニーへ帰った。 ホテル近くのレストランでムール貝を肴にビールで祝杯を挙げた。 シャモニーでは最後の夜を登山用具の買い物ツアーに満喫した。
l 3月23日 朝早くシャモニーを発ち、ジュネーブ、ミラノ経由で帰国。帰りはイースター休暇の関係で大変な混雑であった。