山と温泉  岡山の山を登る会


 10月25日(土) 11時半に湯原温泉集合との指令があった。三年前にも泊まったことのある桃季荘である。勝手知った道順のせいか全車は定刻前に揃った。マイカー7台が連なって出発する。県境にそびえる毛無山目指し約1時間。メルヘンの里新庄村に至る。村役場は童話に出てくるトンガリ屋根のスタイルだった。ここは出雲街道の宿場町で伝統的町並み保存につとめており、通りの両側にがいせん桜があり、花のシーズンは賑わうという。これをパスして登山口へ。駐車場は一杯だった。先着の大勢の登山者が準備体操をしていた。幹事の用意した弁当と缶ビールをリュックに入れ、歩き出す。すぐに腰をおろして遅い昼食となる。先ほどの団体さんが追い越していった。
 暗い杉林の道は急になり、やがてぶな林となり、黄色の世界となる。紅葉は既に後半を迎えていた。避難小屋を過ぎ、最後の急な登りが終わると、パッと視界が広がる。劇的効果満点である。大山が北にそびえているが、残念ながら頂上部に雲があった。それ以外の中国山脈は、すべて見渡せた。今回で第七回目となるが、今までに無い快晴を当てたことになる。岡山の山は、京都から程よい距離にあり、とっつきやすい山がたくさんある。それに温泉があるのがなによりである。そんなことで気分よく毎年集まっているのだ。山頂の大きな「毛無山1218m」標柱を囲んで乾杯す。今西式ヤッホーの行事も忘れることなく実施する。ちょうど登り合わせた男性氏に記念撮影を頼んだ。彼から「どこから?」と、不思議な眼差しで質問をうけたが、チロル帽、ベレー帽、登山靴、スパッツなどの様相で、全員がストックを持っているのだから、そしてワイン・ビールを飲み歓談しているこの年寄り集団は異様に写ったのであろう。
 幹事さんに促されて下山。宴会の時間が気になるようだった。今宵の湯原温泉は中国山地の誇り、湧き出す湯量の豊富なこと、ダム下の野趣あふれる露天風呂など名湯の誉れ高いところ。5時半宿舎に帰着。さっそくアルカリ性単純泉に飛び込み汗を流す。宴会場に浴衣姿が並んで、寺本世話役の開会宣言で宴会開始。正面舞台では「南チロルの旅 9/1から9/15」がパソコンを駆使して、デジカメの上映がなされた。先輩諸氏の旅の記録を興味深く見ながら、或いはお喋り夢中で杯を傾けるなど様々であった。「各自のデジタルカメラの時間標示を事前に合わせておけば、全員の時系列順の写真にするのはもっと容易であった」との寺本さんのパソコン処理の反省は参考になった。なにしろアメリカ時間、イタリヤ時間、サマータイム、日本時間などの各種カメラが持参された為とのことでした。
 二次会では、川崎世話役が持ち込んだシャコ・エビを美味しく頂きながら遅くまで歓談する。参加の奥様方のかもしだす雰囲気が和やかさをもたらす。
 10月26日(日) 明け方に雨があったが、どうやら今日もよい天気である。勝山町まで「旭川」沿いに下り、神庭の滝への道に入る。滝見物は後回しにして星山東登山口へ車を進める。途中で眺めた星山は三角錐のいい形をしていて紅葉に染まっていた。ビジターセンターにてガイドマップを頂く。二万五千の地図とパソコンによる立体的鳥瞰図、及び頂上展望図があった。合成紙製の立派さに驚く。
さて星山であるが、山陰側の呼び方は「ほしがせん」、山陽側の地元では「ほしやま」と呼んでいる。記念植樹札のついた雑木林をゆるやかに登り、前山を巻いて林を抜けると星山の三角形が目前に現れる。明るい笹原を急登すると高原状の頂上で360度の展望が広がっていた。約一時間で楽な一等三角点を得たのである。大山は見えず昨日より落ち目のお天気であったが、ポコポコ山が周りにたくさんあり、まだまだ岡山の会は続くなぁと実感した。例によってビール・ワインを飲む。なかでもご持参のヨーロッパ土産、ワイン・チーズ・ハムが提供され、おいしく、有難く頂戴した。
お猿のいる神庭の滝を見学して桃季荘に戻り、入浴と昼食をとる。マイカー運転手のためにノンアルコールビールが用意されていた。まことに気のつく名幹事で、これで川崎氏の常任幹事が確定した。来年は美作三湯のひとつ、湯郷温泉とすれば、奥津・湯原を経験しているので三湯卒業となるのだが、幹事に期待しておこう。ここで解散となる。
(出席者)中島道郎 酒井敏明 谷 泰 岩坪五郎と夫人 高村泰雄 上尾庄一郎 福嶋義宏 宝田克男 井上潤 新井浩と夫人 青野敏幸と夫人 川嶋真生 潮崎安弘 井関祥浩 松井敦男 寺本巌 奥村樹郎と夫人 薮内卓夫と夫人 川崎徹と夫人 計25名。
(新井浩記す)