梅里雪山の大雪崩

北上田 毅

 遭難から20年、私にとっては、同期の井上治郎を訪ねる、念願の梅里雪山行でした。3月16日、ユイポン村への峠から少し尾根を上がったところで、メツモからカワクボまでの連山が真っ青な空に輝いているのを見たときには、井上悦子さんから、「井上に会ってやってきてください。」と言われたことを思い出し、思わず涙が出ました。
 ところが、その直後、ベースキャンプの少し上から大雪崩が発生したのです(午前11時21分−27分)。すさまじい雪煙が、谷からあふれ、もくもくと沸き立ちながら樹林帯を降って、ユイポン村の近くまで雪煙が落ちていきました。あまりのことに、思わず、震え上がりました。後に、村の人たちに聞くと、村にまで雪煙が届いたのは、過去、なかったということです。