五月の会津朝日岳に遊ぶ

 

新井 浩

 

1982年に日光の光徳小屋(学習院大の山小屋)に集まったのは、今西錦司先生の1500山登頂を目指してのお祭登山の為だった。チヨゴリザ以来の学習院大との親密なお付き合いから、日光附近の山行きについては舟橋明賢氏が世話役を買って下さった。この年は太郎山、1983年は温泉ケ岳、1984年は女峰山と毎秋に光徳小屋に集まった。東京在住のAACK会員は何はさて置き駈けつけたものである。今西先生が亡くなられた後も、学習院GAC京大AACKの有志が山仲間を形成し、スキーやハイキングに楽しい汗を流していた。

 

前置きが長くなったが、今回の会津朝日岳行きもGACからの呼び掛けであった。5月6日 快晴 4時半只見の倉田屋出発。OB、OG総勢20名。うちAACK会員は芳賀孝郎、高村奉樹、餐場邦光、清水節郎、新井浩であった。以下五七五にて、短くレポートする。

 

 

 

 

 

 

五月山若き頃の元気あり

雪解けの荒禿沢の渡渉点

大木が無残に折れたる雪崩跡

石垣が崩れたようなデフブリかな

風も無く四囲の山々霞立つ

マンサクのためらい咲きを乗り越えて

雪の尾根カモシカの糞ここかしこ

雪壁の裂け目を攀じるスリルかな

避難小屋目指して雪肌トラバース

急峻の白壁の上にゴールあり

頂きに立ちて見つけり春の湖

会津駒白き器量も朧なり

三人の先客憩いの座に和して

雪ずれて地肌の露出春の色

日当たりの雪解け斜面イワウチワ

雪腐り須走りの如く下りけり

雪尾根の下り下れど沢遠し

ライト点けアイゼン外すイワナ里

朝日岳残雪多く十五時間

 

 

データ:

1、  参加者      GAC会長橋本実(橋本前総理と従兄弟)夫妻

                芳賀孝郎夫妻(芳賀スキーは整理済、奥様は三田幸夫氏令嬢)

                高野美保夫妻(世話役藤井昭孝)(チョゴリザ40周年記念バルトロ

                        氷河トレッキング参加、美保様及び新井も参加)

                高木、小林夫妻

石川、武田、鈴木、岡部、贄田の各氏。

AACK側は既述。合計20名。

 

2、  集合場所 福島県南会津郡只見町黒谷 倉田屋(車又は電車バスで集結)

このあたり雪が消えたばかりで、桜は未だ咲かず、カタクリ、アズマイチゲが見られた。周りの山は雪の斑模様。

 

3、会津朝日岳1624m  黒谷から車で黒谷川を遡り、白沢に入る。「イワナの里」まで。登山口からアイゼン装着。赤倉沢をつめていく。五万分の一「小林」の点線どおり。残

雪は豊富。稜線では底雪崩傾向のクラック多数あり。「叶の高手」1430mの下りでザイル使用(女性の為)。好天気の為のんびりしすぎて、駐車場所に戻った時は真っ暗となった。

 

4、展望 会津高原のど真ん中で景観にすぐれている。陽炎がたち、遠くの山が判別

出来なかったが、近くの会津駒2132m、浅草岳1586mの白い峰に魅入る。

5、温泉 伊南村古町温泉、赤岩荘。赤岩の露天風呂が秀逸。