甲斐駒ヶ岳戸台川流域アイスクライミング(山崎 洋介)(2002年1月)

<山域>    甲斐駒ヶ岳戸台川流域

<メンバー>  山崎(L)、佐藤、小浜

<時間記録>

1/12 8:30 戸台発 - 10:20 丹渓山荘 - 11:00 幕営準備  - 16:10 舞姫の滝           

1/13 3:30 起床 - 5:30 出発 - 7:30 本流F1 -  11:30 二股 - 16:40 稜線 - 23:40 丹渓山荘

1/14 8:15 起床 - 10:30 出発 - 13:20 歌姫の滝 とりつき - 16:10 とりつき - 17:30 戸台

 

1/12 戸台から丹渓山荘へのアプローチは崩壊が進んでおり、旧車道は通行不可 能な部分がある。ひたすらとばして抜かしたパーティの中にルームの先輩のグドさん、ゴイシさん、ナマコさんがいらっしゃったらしい。お話しもで きず、残念。  

舞姫の滝はF1から完全に氷結している。さすがに西日の当たるF3は緩ん で水が滴る状態であるが、中央を登れば快適なクライミングが楽しめる。小浜リード。VI+。F3登攀中、右岸より大規模な落石が発生した。気温の上昇 する午後は注意が必要。上部のナメは完全なガレ場。一応奥まで詰め、タッチの氷柱に触ってき た。 下降はF3を除いて懸垂の必要はない。

 

1/13 本日は長丁場なので、夜明け前に出発する。本流F1で奥駒津に入るという 先行パーティに追いつく。  本流F1の氷結状態は良好。F2中央部は薄い。いずれもIII級程度。 駒津沢F1。小浜?佐藤リード。チャレンジャー小浜は容易な中央部を避 け、 右側の垂壁をたどっているが、惜しくもワンテンション。左上し立木でビレイ。 そこ からは傾斜も落ちるが、高度感がでてくるので気が抜けない。V-。  駒津沢右股出合いの滝は35mぐらいか。中上部は立っている上に氷柱な ので スクリューが効かない。最後の10mほどが垂直。山崎がリード。V。    出合いから上は完全に雪に埋まっている。膝?股までのラッセルを延々と 続け る。ガイドに載っているチョックストーン滝がわずかにそれとわかる程度。上部 二 股の右股から200mほど登った地点で右の尾根にとりつき、ブッシュを踏み抜き    つつ双児峰?駒津峰のコルに達する。若手二人はワカンラッセルの経験が 少な    いため遅れ気味。駒津沢はよほどの降雪直後でない限り雪崩る心配はない だろう。  不動岩付近で日没。下降点が発見できず時間を食う。  暗闇の中、赤テープや赤ペンキマークを拾いつつ登山道を下降。氷の登 攀と 長時間のラッセルに疲労して、三人とも黙りがち。 2502ピークの先で登山道尾根の左(韮崎側)を走っている小ルンゼを下降。 スーパー林道の踏みあとを見つけたときにはさすがにほっとした。     

仙水峠で雪を溶かし、スープを作って一息入れる。  満天の星空の元、最後の下りを駈け降りる。目標は丹渓山荘。目的は宴 会。 デポしてあった食料をすべてつぎ込み、深夜の宴会にいそしんだ。

 

1/14 ぼろぼろの身と心、ついでに疲れた顔の若手にむち打って、歌宿沢歌姫の 滝 に挑戦する。  ガイドの写真を信じ、それに適合する地形を探すうちに行き過ぎてしま う。白山    書房のガイドのアプローチ中の写真は間違っているようだ。本文通り、 20-30分 登ったところから左に見える滝を目指すのが正解。  手前の小滝でアイゼンをつけ、中央部から小浜リード。が、最後にある 5mほどの垂直部を越えられず、山崎と交代。左の立木へ。VI+?V-。   2P。3mほどの垂壁を直上し、傾斜の落ちた落ち口を右上。最後はガレを 登ってスーパー林道のガードレールで確保することができる。 下山は、林道右手にあるトンネル手前の小尾根。滝の全景が見えてきた あたりで登り口めがけて下降すれば取り付きに戻ることができる。

 

戸台流域は、これまで本流赤河原上部の沢が主に登られてきたが、近年中流部の滝が 見直されている。スーパー林道に向かって切れ込む沢にも東京近辺や関西では見 られ ないスケールの滝がいくつもかかっている。戸台からのアプローチも近いので、 本チャン 第一歩として活用できると思われる。 もちろん、ビバーク覚悟の装備と心構えで本流遡行や駒津、奥駒津をアタックす れば、 総合的な経験を積むことができる(先年いった奥駒津ではなかなかにつらい目に 遭え ました)。 以上